ffmpegのフィルタの中には効果を与えるのに期間(区間)、以上、未満、毎の時間の条件をつけることができるものがある。これらをつけられるのはffmpeg -filters
で調べたときに T と表示されるフィルタである。記事の下で紹介。
オプション
- t
0から始まるタイムスタンプ秒。1フレーム目の経過時間が最初の値になる - n
1から始まるフレーム番号 - pos
バイトサイズ。例:’between(pos\,0\,10M)’ 10MBまで有効にする - w, h
入力映像の横と縦の解像度値
公式ドキュメント:FFmpeg Filters Documentation : Timeline-editing
使い方
注意点としてタイムライン編集を使ってオプションを指定するとき、フィルタのオプション名を省略しないこと。省略するとエラーが出たり、引数を認識しないことがあるため。これを回避するにはオプションの最後にenableで有効にする時間を指定する。
enable=1ですべてのフレームが有効になるが、正確には0.5以上ならすべてのフレームが有効になる。
本来の効果。
ffplay -f lavfi testsrc2 -vf lutyuv=0:val:val
0が反映されていない。
ffplay -f lavfi testsrc2 -vf lutyuv=enable='between(t\,1\,2)':0:val:val
これなら反映される。
ffplay -f lavfi testsrc2 -vf lutyuv=enable='between(t\,1\,2)':y=0:u=val:v=val
enableを末尾につければ引数のオプション名を明記しなくてもよい。
ffplay -f lavfi testsrc2 -vf lutyuv=0:val:val:enable='between(t\,1\,2)'
10秒から180秒までsmartblur
フィルタを当てる。
smartblur=enable='between(t\,10\,3*60)'
3秒までcurves
のプリセットcross_processを指定する。
curves=preset=cross_process:enable='lte(t\,3)'
3秒からcurves
のプリセットcross_processを指定する。
curves=preset=cross_process:enable='gte(t\,3)'
1秒から3秒までと4秒から5秒までsmartblur
フィルタを当てる。
noise=alls=100:allf=t+u:enable='between(t\,1\,3)+between(t\,4\,5)'
2秒ごとに1秒間(0から1秒、2秒から3秒…)smartblur
をかける
smartblur=enable='lt(mod(t\,2)\,1)'
この書式が使える:ffmpeg で使える評価式
発展的な使い方:2入力する映像のフィルタを詳しく設定する
強弱をつける:時間でフィルタに強弱をつける
ベンチマークについて
1入力フィルタをタイムライン編集で無効にするときはフィルタ自体が無効になるのでベンチマークは大幅には改善する。一方で2入力以上のフィルタをタイムライン編集で無効にしたときはベンチマークは有効時よりも改善するが、2入力していることには変わりないのでベンチマークは大幅に改善しない。
ベンチマークが下ほど悪くなる。
ffmpeg -f lavfi -i color -f lavfi -i testsrc2 -filter_complex null -f null -
ffmpeg -f lavfi -i color -f lavfi -i testsrc2 -filter_complex overlay=enable=0 -f null -
ffmpeg -f lavfi -i color -f lavfi -i testsrc2 -filter_complex overlay=enable=1 -f null -
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ffmpeg -filters
T があればタイムライン編集に対応している