pp
(postprocessing)フィルタとは、デコード段階でフィルタを当てるフィルタを意味するが、フィルタチェーンでのpp
の位置によってフィルタが当たる順番も変わる。用途に合わせてたくさん種類があるので使いこなすのは難しい。ビルドオプションに--enable-gpl
が付いてないと使えない。
同様のフィルタにfspp
,pp7
,spp
,uspp
があるが、順番に負荷が大きくなりfspp
以降は負荷を考えると実用性は低い。
基本コマンド
ffmpeg -i input -vf pp=de output
ffplay -i input -vf pp=de
公式ドキュメント:FFmpeg Filters Documentation : pp
公式wiki:Postprocessing – FFmpeg
オプション
オプションの記述方法が他のフィルタと少し異なり、値の指定には “|”、オプションの指定には “/” を挟んでフィルタチェーンをつなぐ。
例えば既定値のpp=de
は"pp=hb|32|39|a|c/vb|32|39|a|c/dr|a|c"
に置き換えることができる。これは hb の既定値に a, c、vb の既定値に a, c、dr の既定値に a,c を当てている。
- デノイズやインターレース解除のフィルタを当てるのにどのチャンネルを対象とするか
- a, autoq
CPU性能に応じてオンオフのオート設定。特に設定する必要なし - c, chrom
輝度と彩度にフィルタを当てる。既定値 - y, nochrom
輝度だけにフィルタを当てる - n, noluma
彩度にだけフィルタを当てる - hb, hdeblock[|difference[|flatness]]
横軸のデブロッキングフィルタ - difference
差異要因。大きい値ほど効果が大きい(場所指定)
既定値:32 - flatness
平坦化の閾値。小さい値ほど効果が大きい。下げすぎ注意(強度指定)
既定値:39 - vb/vdeblock[|difference[|flatness]] // vb|difference|flatness
縦軸のデブロッキングフィルタ
hb, hdeblockと設定同じ - ha, hadeblock[|difference[|flatness]] // ha|difference|flatness
横軸の正確なデブロッキングフィルタ
hb, hdeblockと設定同じ - va, vadeblock[|difference[|flatness]] // va|difference|flatness
縦軸の正確なデブロッキングフィルタ
hb, hdeblockと設定同じ - h1, x1hdeblock
実験的な水平方向のデブロッキングフィルタ。引数なし - v1, x1vdeblock
実験的な垂直方向のデブロッキングフィルタ。引数なし - dr, dering
デリンギングフィルタ。見た目を損なわずにデノイズを行う効果がありおすすめ。引数なし - tn, tmpnoise[|threshold1[|threshold2[|threshold3]]] // tn|threshold1|threshold2|threshold3
フレーム間差分を小さくする3次元デノイズフィルタ。一方でバンディングが目立つようになる。引数は3つまで指定できる - al, autolevels[:f/fullyrange]
明度とコントラストを自動設定する。-al で自動調整しない。引数なし
無指定は -al と同じ - lb, linblenddeint
線形ブレンドのデインターレースフィルタ。片フィールドしかない部分は2重表示される。フィールドがマッチしていない部分では残像が残る。引数なし - li, linipoldeint
線形補間のデインターレースフィルタ。23プルダウンの場合、5フレームに1フレーム重複フレームができる。フレーム間引きを自動でするならdecimate
、一定間隔ならtrim
でもできる。引数なし
手動でフィールド処理を行う fieldhint | ニコラボ
trim フィルタの使い方 - ci, cubicipoldeint
立体補間のデインターレースフィルタ。23プルダウンの場合、5フレームに1フレーム重複フレームができる。引数なし - md, mediandeint
メディアンのデインターレースフィルタ。23プルダウンの場合、5フレームに1フレーム重複フレームができる。引数なし - fd, ffmpegdeint
FFmpeg のデインターレースフィルタ。23プルダウンの場合、5フレームに1フレーム重複フレームができる。引数なし - l5, lowpass5
垂直方向の FIR(finite impulse response)ローパスのデインターレースフィルタ。片フィールドしかない部分は2重表示される。フィールドがマッチしていない部分では残像が残る。引数なし - fq, forceQuant[|quantizer]
quantizer の個別指定。数値指定。他のオプションと併用(一部効果の無いオプションがある)で効果がある。0 は他のデブロックオプションを無効化し、1 はそのまま。大きい値ほど全体がぼやける
コマンド例
- 処理が軽め(同じ設定内容)
-vf pp=fa
-vf pp=h1|a/v1|a/dr|a - 高品質(同じ設定内容)
-vf pp=ac
-vf pp=ha|a|128|7/va|a/dr|a - 縦横軸のデブロックとデリンギング、明度とコントラストの自動設定
-vf pp=hb/vb/dr/al
- 明度とコントラストの自動設定をせずに、既定値のフィルタを当てる
-vf pp=de/-al
- 既定値のフィルタと一時的なノイズ低減フィルタを当てる
-vf pp=default/tmpnoise|1|2|3
- 輝度だけデブロックと縦軸のデブロックとCPU自動設定をオフ
-vf pp=hb|y/vb|a
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